川口まどか『やさしい悪魔』 -Kawaguchi Madoka-<再版>
秋田書店ひとみコミックス(全13)ほか
料金は法外だが、金さえ払えばどんな願いでも叶えてくれる。しかしその扉を開くことが出来るのは、一生に一度だけ。何となくブラックジャックのようだが、それが「やさしい悪魔」。
ハンサムだが目つきはきつく、態度は冷淡。しかし実はとても人間好きで、大抵人が幸せになるように仕向ける。好みの女性は「きれいな人。魂が。」
時にグロテスクな描写で、上品とは言いがたい漫画だが、手の込んだストーリーといい、ぞっとするような残酷さをさらりと描く手腕といい、それでいて人の心を意外に繊細に捉えているらしい(必ずしも表現には十分現れていないが、そう気付いて読むと深みが増す。)ところといい、私は気に入っている。
最近は感覚的な絵による表現が多いので、これに関して私はどうかと思っているのだが、賛否両論あると思う。

1980年代頃からシリーズが始まったらしい。一時絶版だった秋田書店ボニータひとみコミックスが最近再版され、13巻まで出ているが、続きが出るかどうかは不明。他には講談社『やさしい悪魔』川口まどか自選傑作集1〜3、講談社KCデザートで『続・やさしい悪魔』(1999)、最近ボニータで連載が始まった『やさしい悪魔の物語』は秋田書店ボニータコミックスから。

この人の作品は好みが分かれると思うので、一度ボニータか何かで立ち読み・・・するのは申し訳ないので、漫画喫茶ででも読んでみられたらいいと思う。(有るのかどうか。)そして気に入ったら迷わずコミックスを買おう。マイナーなので(本の場合マイナーであるかどうかに関わらないかもしれない)、今度にしようと思ったら、恐らくもう二度と手に入らないであろう。一作ずつ読み切り。
同じタイトルの全1巻の漫画があるが、それは違う作者の違う作品。


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