竹宮恵子『地球へ・・・』(テラへ) -Takemiya Keiko-
朝日ソノラマ サンコミックス全4ほか

SF。少年漫画として書かれたせいか、竹宮恵子さんの作品の中ではあまり竹宮さんらしくないくらいすんなり読める印象を受けた。しかしこうして見ると少女漫画とそうでない漫画とは、どの辺りに境界があるのだろう?

環境汚染が進み、死に絶えようとする地球を回復させる為、全ての人間は一時地球を退去、地球の清浄をはかる。そして二度と汚染が進まないよう、選ばれた人間だけが地球に住むことを許される。しかし、完全にシステム化された人間社会の中から、“ミュー”という超能力を持つ人種が生まれ、人間とミューとの戦いが始まる。
主人公ジョミーはミューの首長として彼らの進む道を探る。人間社会で選ばれた男キースは、冷徹にミューの排除を行おうとするが、彼の中に次々と湧き起こる疑問にはどこからも満足の行く答えは与えられない。
完璧なはずのシステムの中から、何故ミューは出現するのか?果たしてミューの未来は、人間の未来はどうなるのか?
遥かなる宇宙の中、生命誕生の地「地球」に恋焦がれる熱き思い。虐げられた者の中に生まれる悲しい憎悪、ほんのちょっとの触れ合いで生まれる優しさと理解、生きることの厳しさ、等々、ジョミーとキース2人の人生を軸に、力いっぱい描ききった大作。


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