木原敏江『摩利と新吾』
中公漫画文庫ほか (文庫版で全8巻)

幼なじみの摩利と新吾は私立持堂院高校に入学する。そこには青春の憧れ、友情といった輝かしい日々があり、学び、競い、遊び、よく泣きよく笑う、純朴な青年達がいた。彼らヴェッテンベルク・バンカランゲン(心やさしき野蛮人)の、痛みを伴う成長の軌跡。
人々はやがて現実や時代の波にのまれてゆくけれど、彼らの心の中に永遠に留まり、聖域としてあり続ける持堂院桜豪寮。摩利と新吾はどのように結びつきを深め、どのように互いを認識していくのか。どのような形で互いの魂を愛するのか。
時に中世の歌謡に彩られ、またローエングリンの格調高き調べに乗せながら、個性的な人物達の生き様をいきいきと描き上げる。

長編、プラス短編。木原さんの描く人物は美しく、特に黒髪の美女と金髪の美男がきれいだと思う。どろどろした感情もつらい心情も、くどくなくさらりと描き、だからこそ胸に響くものがある。それは登場人物達の、そして作者自身の、人生への讃歌なのかもしれない。
ところで摩利は髪が短い方が素敵です。

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