名香智子『ファンション・ファデ』-Naka Tomoko-
小学館文庫(全4・2001年)
ファデはアフリカ育ちのフランス人。ルウルウと女同士で結婚の約束をしていたが、父親の必死の説得に負け、広い世界を知るためにパリにやってきた。アフリカの自由な生活とは正反対の、厳格な貴族の伯父の家での生活に耐えられず、ファデはとうとう家出をしてファッションデザイナーを目指す。ライバル達からの陰湿な妨害で足を引っ張られながらも、独自の才能と優しい素直な性格でたくさんの味方をつけ、パリやアメリカのモード界に新風を巻き起こす。
パリでも随一の天才デザイナー、ユーフォとのロマンスや、ユーフォの養母でモード界を牛耳るマダム・フルールの謎など、見所たくさんのロマンチックストーリーだ。ただ、唐突にどうしてそうなるの?という不思議な終わり方である。確かに伏線があるにはあったのだけれど・・・。
彼女は「世界中の女の子に私の作った洋服を着てもらいたい」と、きらきらした目で語る。陰謀渦巻く世界に一人飛び込んだ優しいアフリカの女戦士の物語。
これを読んだら自分でも洋服を作ってみたくなる女性も多いに違いない。
シャルトル公爵家シリーズの登場人物がたくさん出てくるので、それも楽しい。名香智子さんのわりと初期の作品。

ところで「ファンション」はフランソワーズの愛称。「ファデ」はジョルジュ・サンド『愛の妖精』の主人公ファデットからとった愛称。『愛の妖精』も読みやすく優しい感じの話なので、こちらもついでにおすすめ。


初出:『週刊少女コミック』1978年〜1979年


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