大和和紀『アラミス‘78』 -Yamato Waki- (全4巻) 講談社KC
『はいからさんが通る』を読んでもっと大和和紀作品を読みたくなった方には、『あさきゆめみし』より先にこれをおすすめしたい。はいからさんはかなり笑えると同時にロマンティックで涙を誘う少女向け作品だが、アラミスはもう少し軽くして、徹底的にギャグである。
あらすじ。でもしか教師、谷杏子が就職した東雲高校には、女生徒のアイドル「三銃士」ことアラミス、臣、せいら、という3人組がいた。横暴でゲンキン、単純で煩悩の人お杏せんせいは、大人びたムードで何故かヒゲを生やした高校生アラミスにせまられる。 授業を妨害されまいとするお杏と、お杏をからかいながらも本気になっていくアラミス、対決を重ねていくうちいつの間にか恋人同士になっている。
アラミスに恋する美少年せいら、わんぱく単純少年臣が加わり、他にもあまりにも個性的な人々によって、話はひっちゃかめっちゃかになっていくのである。

しかし、彼らの半端でない無茶苦茶ぶりには妙に感心してしまうところがある。
杏子はある日、冷蔵庫に防臭剤が一つ入っているきりなのを見て、「冷蔵庫にさえキムコという相手がいるのに」と言って、突発的に手近な教育委員会の佐渡方と婚約する。周囲の人々は当然なんでまた、と驚くのだが、杏子は「だって結婚したいんだもーん」てな感じである。そこでアラミスと佐渡方が杏子をめぐって決闘するのだ。その内容がまた凄い。ゲーセンで得点を競うというのはまだいいとして、ストリーキング競走、おかまバーでどれだけうまく客があしらえるか、などなど。そしてさんざん振り回した挙句、杏子の下した決断は・・・?

とにかく無茶苦茶で納得の行かないこともあるが、奔放さもここまで徹底すれば凄いと思う。それでいて純粋で優しいところがお杏せんせいのもてる所以なのだろう。
ストレス解消になるかもしれないので、気分が沈んでいるときにおすすめ。 やはり大和和紀はまじめくさったのもいいけれど、ギャグが光っていると思う。 ストーリーは各話読み切りになっている。


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