わらわは姫。某大納言家の娘にて、いりなと呼ばれましてござりまする。 後ろに見えまする「非常口」なる扉は、わらわの住む京の都に通じておりまする。
わらわの着物は、十二の御衣と申し、緋の長袴、ひとえ、五つ衣、うはぎ、打掛、唐衣と幾重にも重ねたる、正装でございます。 そうそう、在原業平どのより、わらわの「ほおむぺえじ」開設にあたり、歌を頂いたのでございました。在中将どのとは折にふれ「めえる」を交す仲でございます。
かくといふ |
(伝在原業平詠歌) |
<平成語訳> こうだ、と言われる(「核」についてなんだかんだおっしゃる)あなたの不器用な言葉が、人に知られることなく花をつけるその蔦葛(ツタカズラ)のように、人に誉められなくともご自分の満足のもと咲き誇れる日の来るのを、ひたすらお待ちしていますよ。 皮肉な御方でござりまする。 |